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空家を放置するとどうなる?相続した空き家があるがそのままにしている。どうすればいいかわからず迷っている。早期対策が望ましいですが、現実的にはなかなか難しいことも。その中で、空き家を放置することのリスクを解説します。

私たちが事業を行っている泉州地域では、平成30年に台風21号が直撃し、多くの住宅が損傷し被害を受けました。それを機に「空き家をどうにかしたい」「空き家を引き受けてほしい」というご相談が増え、2024年11月現在、合計約30件の戸建の空き家の買取、賃貸を行っています。

空き家の買取、リフォーム、解体等あらゆるケースに携わってきた私たちだからこそお伝えできるリアルな情報を届けします。

そもそも空家問題とは何か?増え続ける空き家数と実態について

総務省が2023年10月に実施した「住宅・土地統計調査」では、空き家数は900万戸となり、2018年と比べて過去最高になりました。

また、総住宅数に占める空き家率は13.8%で、こちらも過去最高です。

1993年から2023年までの30年間で約2倍となりました。

出典:総務省令和5年土地統計調査

ただし、この「空き家」には売却用や賃貸用の空き家も含まれており、放置が問題になってくるのは「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」です。

つまり、賃貸や売却以外で人が住んでいない、また長期にわたって不在の住宅です。

上のグラフで言えば赤い色がついている棒グラフですが、385万戸で総住宅数に占める割合は5.9%となっています。

さらに深ぼると地域によって、空き家数や空き家率も異なります。

「空き家」についての話を行うときは、しっかり定義づけをすることがより実態を知ることにつながります。

「地域が抱える空き家問題」とは何か?

不動産の地価が高い都心部では、解体後に更地として新たに流通するため売却も可能です。

ここで問題になってくるのは「地価が低く、解体後も住宅利用などが難しい空き家」です。

私たちが活動拠点とする南大阪には、昭和50年代前後に建築された「建売団地」が多く存在しています。土地や建物の坪数も小さく、再活用が難しいという現実があります。

リフォームし、賃貸活用ができれば問題ないですが、特に木造戸建てでは雨漏りやシロアリ被害が進行して解体せざるを得なくなる物件も多いです。

そのような物件が増えると、さらに放置が進み、スラム化が進みかねません。ここに問題があると考えています。

無制限に費用をかければリフォームも可能ですが、より多くの空き家を再生するためには経済合理性も併せて考える必要があります。

放置空き家に潜む、雨漏り・シロアリが進行する事例

前述のように雨漏りやシロアリの被害は放置すると甚大になります。

表面的には分かりづらいケースも多く、私たちが買い受けてから発覚することも多々あります。

以下では、実際に私たちが買取を行った物件の事例をもとに、写真で解説します。

雨漏り事例:現場A

また、台風の被害などで屋根瓦がとんでしまい、そのまま放置することで雨漏りが進行したケースです。

屋根の補修も費用がかかる修繕のため、そのまま放置されていることも多いですが、この場合も早期に対策が必要です。

シロアリ被害事例:現場B

一見問題なさそうに見える内観ですが、床のシロアリ被害が甚大でした。

床をめくれば分かりそうな気もしますが、残置物がある状態では床下を調べられないという事例で、買取後に発覚したケースとなります。

①物件内観

②畳をめくった状態

③さらにめくった状態

④シロアリの被害

上記のような事例は空き家を放置することで発生した事例です。

特に、南大阪は平成30年度の台風の被害が大きく、瓦が飛んだままの状態で雨漏りが進行したり、シロアリの被害が広がっています。

私たちは、空き家の再生を主な事業として取り組んでおり、日々空き家所有者の方から「売却したい」「引き取ってほしい」というご相談があります。

体感でいえば100件中30件がまだ再生(リフォーム)可能で、残りは再生が難しく解体せざるを得ない事例にも多く直面します。

こうした多くの物件が抱える問題の原因は、長期間の放置にあります。空き家の放置が進むことで、予想以上の問題が発生し、修繕や解体にかかる費用が膨らんでしまうケースが多く見られます。そのため、空き家の早期対策を強くお勧めしています。

空き家を放置することで起きる実例

ここまでは実際に起きた事例を見てきました。

以下では、空き家を放置することで起きる実例を紹介していきます。

近隣トラブルにつながる 

出典:政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html

放置された空き家は、周囲にさまざまな悪影響を与えることがあります。建物の周りに雑草や樹木が生い茂ると、景観が悪くなり、また近隣の方の敷地に越境する問題も発生します。

また、湿気の多い状態や放置された木材、腐敗物などが害虫を引き寄せます。

特にシロアリやネズミ、ゴキブリなどが繁殖する原因となり、近隣の家屋にも影響を及ぼします。

害虫が巣を作ることで建物の構造がさらに悪化し、害虫駆除の費用が追加でかかることもあります。

資産価値が下がり、解体せざるを得なくなるケースも

空き家を放置すると、最も深刻な影響が資産価値の低下です。建物の劣化が進むと、その修復にかかる費用も膨れ上がり、最終的に売却や活用が難しくなることも起こります。

例えば、放置された空き家では雨漏りや屋根の劣化が進み、壁にカビや腐食が見られるようになります。

このような状態の建物は、修復するためには大規模な工事が必要で、その費用が数百万円に達することもあります。

また、シロアリや害虫の侵入により構造部分が損傷することも多く、これは目に見えにくいため、問題が進行してから気づくケースがほとんどです。

こうした状況が進行すると、解体を選ばざるを得なくなる場合もあります。

管理不全空き家などに指定されると、税金が上がる

空き家の放置は税金面でも大きな影響があります。

「このまま放置すれば、特定空家になる可能性のある空き家」と自治体が判断した場合は、「管理不全空き家」に指定されることがあります。

管理不全空き家とは、簡単にいうと安全性が疑われたり、放置が進んでゴミで溢れている状態の家です。危険性が高まる前に、行政の介入によって早期の改善を図ります。この制度は2023年に空き家対策特別措置法が改正され、設置されたものです。

そうなると固定資産税の軽減措置が受けられなくなり、結果として税の負担が増えます。

また、さらに危険な状態の「特定空き家」に認定されると、最終的な罰則として行政代執行につながります。

行政代執行の場合、代執行の費用は全て空き家などの所有者が負担することとなり、多額の予期せぬ費用がかかります。差押えなどで強制的に徴収されることもあり得ます。

出典:政府広報オンライン(https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html

大阪府泉佐野市でも2021年(令和3年)に実際に行政代執行に至ったケースもあります。

空き巣や不法侵入のリスク 

空き巣や不法侵入のリスクが高まります。空き家に侵入され、物品が盗まれるだけでなく、建物内での火災や破壊行為、さらには不法な住人の侵入といった問題も発生することがあります。

犯罪者が空き家を狙う理由は、無人であることと、近隣住民が気づきにくいからです。

さらに、周囲に放置された建物があると、周辺の治安も悪化し、住民の安全を脅かすことになります。このような状況を避けるためには、早期に空き家の管理を行い、セキュリティを強化することが重要です。

空き家の維持管理のために

上記では空き家を所有し、放置することのリスクを解説しました。

空き家を保有している場合は「定期的に風通しや清掃を行ったり水まわりを点検」することでカビや腐敗を防ぐことができます。

しかし実際には、遠方にお住まいの方も多く、定期管理が現実的でないことも。

早期に売却やリフォームをすることで再活用できる場合はありますが、残念ながら、時間が経って再生が不可能になり、解体せざるを得ない住宅も増えています。

私たちは空き家の再生に強い課題意識を持って、事業に取り組んでいます。自社で売買からリフォーム、賃貸を一気通貫して行う体制を整えており、戸建に限らずビルも含めた中古住宅再生も行ってきました。

空き家に関するお悩みがある場合は、ささいな点でも構いませんので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

ご不安な点の解消にお役立ちできるよう、私たちがサポートさせていただきます。

この記事を書いた人
広報企画室 河島光佑

株式会社情報都市に2020年に入社。宅地建物取引士。再生可能な空き家を買取りし賃貸する事業を行っています。地域の空き家問題の実態を世に広めるために、空き家活用フォーラムの開催、行政や国立大学との産官学連携も行うなどPR活動にも努めています。空き家所有者の方が1日でも早くご決断いただけるように、安心な取引のために誠意を尽くしてまいります。

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